(TVA)(ef - a tale of memories.) 第10話 『I'm here』

 うやむやに ごまかしてしまうものが多い中、 キチンとケジメをつける所まで描いていたのは 良かったです


 景がダメというわけではなくて みやこ を 選んだ 紘
みやこ は 「紘ならば」 という感じで 身を預けている感じですよね

 前回の最後の部分を経て 紘 は 景を追いかけようとします
物音に気付いて 目を覚ました みやこ は 追いかけようとしている 紘 に 「行かないで」と言います
この部分の 描写は まるで新房監督なんじゃないの? って感じでしたね
みやこ としては 以前のトラウマがあるから 天秤にかけてまでも 「行かないよね?」と 紘 に 迫ります
しかし 紘 は 景を追いかけます、 別に 景の事は 嫌いじゃないし むしろ 近い関係にある 女の子なわけです
判断に苦しむよりも 景を追いかけようと 体が動いてしまったって感じでしょうね
ただ この行為は みやこ に とっては 決定的とも言える 行為に見えてしまったかもしれません

 景は 座り込んで泣いていて それを 見守っている 京介です
どことなく ヤケになっている感じで まるで ピエロ状態になってしまっている 自分を 「撮りなさいよ!」と言います
もちろん 京介は そういうのを撮りたいんじゃないですね
景を探していますが 見失ってしまっている 紘を 京介は 電話で呼び出してきます、 そして 殴っています
以前も 紘 と 京介 は 仕事に関して 言い合ったことはありましたね
プロとして仕事をしていると どうしても 「妥協」しなくてはいけない部分が付きまとってしまうのは 現実です
京介は そういう部分が キライ なんでしょう、 紘 の事を ハンパ と 表現しています

 プロとして仕事をする場合 自分の本心 と その環境の場で必ず諦めなければいけない妥協 の 部分は 常に天秤にかかっている状態です
仕事をやっている人なら分かると思いますけど それは『世の常』です
そういう 紛らわしいものは取っ払った方がいい場合もあるし、 抑制された方がいい場合もある
なんだかんだで 「結果論」になってしまう この世の中では この問題は 常に拮抗している事なんですよね、 難しい事です
京介の言っている事は 景にウエイトを 置いたものです、 それは一方で正しいし 一方で間違ってもいます
ただ 今回 紘が取った行為は 景を傷つけたし みやこ も 傷つけてしまいました、 そういう観点でみれば 京介が 正しいんですよね
でもまぁ やっぱり ケースバイケースだし その場で最も良い判断を出来たのかは結果が出ないと分からないし 難しいんですよね
「結果論」なら 何とでも言えるんですけどね

 ただ 現状としては 景を苦しめているし、 みやこ も やっぱりダメなのか と 紘の前から 姿を消してしまっています

 景を探しているのか みやこを探しているのか、 呆然となって 二人のどちらかを探しているようなつもりで 徘徊しているのか
紘 が 街を歩いていると、 ミズキから 声を掛けられます、 この問題からは 完全な第三者の ミズキだからこそ 気を使わずにいえる事
凪 の作品は 元々ギラギラしていたんだけど 「最近は 普通っぽく纏まってしまっている」、 凪はファンなんだけど 「現状では」 凪より面白い作者がいる
妥協した結果が 読者を 満足させ切れていないというのなら その妥協は 間違っているのかもしれませんね
今の 状況を見る分には 紘 は 全てにおいて 中途半端になってしまっているようです

 あくまでも この作品の場合では 紘は中途半端になってしまっていましたし、 紘 自身も 自覚していたようです
優子はそういうことも分かっているようですし、 この状態を続けるのなら 全てを失ってしまうと警告します
まあ ちょっと乱暴な表現をすれば 優子が言っているのは 「ケジメをつけろ」って事ですね
景は自分のことが好きだって分かっているし 自分だって 好きだ、 だけど それよりも みやこ は 自分にとっては大きい存在なので
それを 本心を明らかにして 「景に 明言するべき」だと、 こうして見ると どうも プロの仕事の部分とは 全然 違う所に 問題があったようですね
その事をも 紘 は 「知っていても 理解する勇気が無かった」と言っています、 それだけ 絆が失われるのは 痛いものだと言う事ですね
できちゃった婚」 とか 「お互いの価値観の違いで離婚します」 とか そういうもので 惚れた晴れたをやっている人たちに対して 苦言を呈してますね 笑)

 紘 は 景の部屋の前まで来て 「学校を辞めて 仕事に専念する」事を伝えにきています
それは 景を突き放す言葉ですが 景に対して誠意を持って発言しています
景にとっては いつも 勝手に決めてしまう と 不満はあってももう 受け入れるしかないと覚悟しましたね
でも 本当は やっぱり好きだと そういう気持ちを爆発させている 景、 景との関係も 本当は続けたいんだけど やっぱり ケジメ は つけないとダメだと
本当は 紘自身も葛藤していた事に気付いて、 紘とは 兄妹 のような関係として 生きていくというように 踏ん切れた様です

 ここで 問題なのは みやこ の事です、 やっぱり 紘ともダメだったと思い 街を去ろうとしています
優子が「また逃げるのですか?」と 声を掛けています、 みやこ は 自暴自棄したような 返答を繰り返しますが
そこで ちょっと 意味深な事を 優子がつぶやきます「私と似た人が 幸せになれるかもしれないっていう夢を」
当然ですが これは 優子も同じような境遇を体験しているってことですよね
優子 は 紘がケジメをつけたという事は 分かっていますので その事を 遠まわしに みやこに伝えているようにも見えました

 公衆電話から 紘に電話を掛ける みやこ、 最後の別れの一言の つもりでいるようです、 テレカの 残量が どんどん減っていくのが タイムリミットの時間のように見えます
みやこ が 料理が上手だった理由なども ここの会話で 分かりましたし 苦労なども分かりました
途中から お互いの気持ちを確かめ合うような会話になって ついに 紘が 告白をしようとしたところで テレカの残量がなくなってしまいます
一番大事なところで テレカが 切れてしまうのに やっぱり ダメなのかなと だんだんと みやこ にとっての 色が 失われている時に
なんと 公衆電話を全部回っていた 紘が みやこ を見つけ出し 声を掛けます、 瞬間 みやこ に 色がよみがえります
なんという 演出!
やっぱり センス が ずば抜けてますね